タッチアップとは?

タッチアップとは、お客様の肌に直接スキンケアやメイクを施すことで、取り扱い製品の使用感や魅力を体感していただくためのサービスです。化粧品売場で働く美容部員(BA)にとって、お客様に製品の良さを実感していただくための重要な接客プロセスの一つです。
タッチアップはこんなときに求められる
お客様がタッチアップを希望されるのは、主に以下のようなケースです。
- 敏感肌や肌荒れといった悩みがあり、化粧品との相性や使用感をチェックしたいとき
- 新製品を使ったメイクや、流行のコスメを試したいとき
- 実際の化粧品の色味や発色を肌で確認したいとき
お客様のこれらのニーズは、美容部員との丁寧な会話の中から引き出されます。
タッチアップの流れと実践方法
それでは、実際のタッチアップの流れを見ていきましょう。
1.お声がけからタッチアップをご提案
お客様がご来店された際は、まずはご様子を観察しましょう。テスターや製品を手に取っていたり、特定の商品をじっと見つめていたりする場合には、「こちらは新製品でございます」「何か気になる点はございますか?」など、積極的にお声がけします。
この際、お客様のお悩みやニーズを上手に引き出すトークを意識することが重要です。「気軽にお試しいただけます」「お時間はどれくらいございますか?」など、タッチアップへのハードルを下げ、お客様が安心して体験できるようご提案します。
お客様はタッチアップに対し、「試したら購入しなければならないのでは?」というプレッシャーや不安を感じることがあります。そうしたお客様の気持ちを汲み取りながら、「製品の魅力を知っていただくだけでも嬉しいので、ぜひお試しになりませんか?」と寄り添った言葉で提案しましょう。
2.会話を交わしながら、タッチアップ
タッチアップをご提案し、お客様から「試してみたい」とお声をいただけたら、まずはお試しになりたい製品を伺います。
タッチアップ中は、こまめに会話を交わしながらお客様のお悩みを丁寧にヒアリングしましょう。メイクやスキンケアに関するアドバイスをしながら、製品の特長や使い方を分かりやすく説明します。
タッチアップが完了しても、その場で購入に至らないケースも少なくありません。その際は、製品のサンプルをお渡しし、ご自宅で使用感をじっくりお試しいただくようお勧めしましょう。これが再来店に繋がる大切な一歩となることもあります。
タッチアップのコツと注意点
タッチアップを上手に行うには、コツや注意点も押さえておきたいですよね。そこで、以下3つのポイントを意識してみてください。
お客様との会話からカウンセリング
お客様との会話からニーズを引き出すためには、丁寧なカウンセリングが欠かせません。様々な質問を投げかけ、お客様の具体的なご要望を把握し、最適なご提案に繋げましょう。
例えば、「普段リップはどのようなお色を選ばれますか?」「ファンデーションはどのタイプがお好きですか?」といった質問から、お客様の好みや購入動向を知ることで、より深くニーズに寄り添うことができます。
タッチアップ前後は、お客様が緊張されていることもあります。少しでも安心していただくために、信頼関係を築くトークを意識しましょう。お客様への気遣いや思いやりが伝わる言葉や態度で、気持ちよくお買い物ができる雰囲気を作ることも大切です。
「お荷物がたくさんおありのようですので、こちらの椅子に置いていただいて大丈夫ですよ!重くて大変でしたよね」
「ファンデーションのみのタッチアップで承りましたが、よろしければ、アイシャドウもお好きな色やお似合いの色をお選びしてメイク直しいたしましょうか?」
このように、お客様を大切に思う気持ちが伝わるコミュニケーションを心がけることが、タッチアップ成功の鍵となります。
▼ピアスグループの美容部員であるアテンダントスタッフが接客で大事にしていることをまとめた記事もぜひご覧ください
お客様のお悩みに寄り添う
お客様のお悩みを深く理解し、それを踏まえた適切なサービスや製品のご紹介、そしてアドバイスを通じて、問題解決に努めましょう。
「自分に似合う色が分からない」
「やけどの跡がコンプレックス」
「シワにファンデーションが溜まってしまい、余計に目立つ」
お客様のお悩みは多岐にわたります。まずは年代や好みといったパーソナルな情報をヒアリングし、お客様の立場に立ってお悩みやご相談に共感することが大切です。
「似合う色をお伝えするよりも、まずは色の選び方をお伝えした方が、今後のお客様のメイクに役立ちそう」
「やけどが辛そう。カバー力の高いものをお勧めして、安心していただきたい」
「シワにファンデーションが溜まらないようにするには、まず保湿が重要。普段どのようなスキンケアを行っていらっしゃるか、詳しく伺ってみよう」
このように、常にお客様を第一に考えたご提案を心がけましょう。
必ずしもご購入が最終ゴールではありません。お客様の期待を超える「+α」の接客で満足度を高め、信頼を築くきっかけを作ることが重要です。
▼ファンデーションのエキスパートブランド【カバーマーク】のスタッフに聞きました!
マニュアル的な言葉ではなく、お客様のお悩みに寄り添いながらご提案していくうちに、お客様からも「これってどんな効果があるの?」などご質問をいただけるようになりました。私の説明が、製品へのご興味につながったことが嬉しかったです!短時間でクオリティの高いメイクができるよう日々練習
お客様の貴重な時間を無駄にしないよう、タッチアップはできるだけ短い時間で完了させましょう。
日頃からタッチアップの工程に優先順位をつけ、重要なステップから効率的に進める練習が大切です。
タッチアップ中は常に時間を意識することを忘れないでください。
空き時間を見つけてタッチアップの練習を行い、所要時間を確認しましょう。無駄な作業を見直して手早く仕上げられるよう、同僚からフィードバックをもらうことも非常に有効です。
美容部員のタッチアップとセルフメイクの違い
美容部員が行うタッチアップは、製品の特長や仕上がりをお客様に体感していただくためのメイクです。これは、自身の好みや自己表現を目的としたセルフメイクとは大きく異なります。
例えば、セルフメイクでは、最初から全顔に自分の好きなメイクを施し、仕上がりを楽しみます。それに対してタッチアップでは、一度メイクを落とし、まず半顔を仕上げてすっぴんと比較。その後、もう片方もメイクを完成させて全体像を見ていただくことがあります。
まるで顔の上でメイクやスキンケアの違いを示す「ショー」のようなイメージと言えるでしょう。そのため、仕上がりを見たお客様が感動してくださると、美容部員は大きなやりがいを感じるものです。
美容部員の役割とタッチアップの実践例

美容部員にとって、お客様への製品提案やメイクアドバイスは非常に重要な役割です。そしてタッチアップは、お客様に製品を実際に試す機会を提供する、その役割の要となるものです。
タッチアップを通じて、お客様はご自身に合った製品や使用方法を見つけることができ、美容部員との信頼関係を築くことができます。また、コミュニケーションが生まれるきっかけにもなり、美容部員がお客様の潜在的ニーズを把握する絶好のチャンスとなります。
製品とお客様の架け橋となる美容部員にとって、タッチアップはまさに成功への鍵を握る業務と言えるでしょう。
▼美容部員の仕事については以下の記事もおすすめです
美容部員のタッチアップ成功例
ここからは、化粧品ブランドを展開するピアスグループの美容部員が語る、実際のタッチアップ成功例をご紹介します。
おもてなしを大切にするピアスグループには、接客にこだわりを持つスタッフが多数在籍していますので、ぜひ皆様の参考にしてください。
▼美と健康のセレクトショップ【パウダーパレット】のスタッフに聞きました!
ファンデーションの色合わせにご来店されたお客様に、「相性の良い下地とお粉がございますので、ぜひ!」とフルメイクをさせていただきました。仕上がりをご覧になって大変喜んでくださり、下地やお粉、ブラシなどもお求めいただけたんです。そこからメイク方法でお困りの際は店頭へ相談に来てくださるようになり、信頼関係を築くことができました。
▼美と健康のセレクトショップ【パウダーパレット】のスタッフに聞きました!
今どんなアイテムを使っていて、どんな効果を期待しているか、どのような物足りなさを感じているか…など、お客様お一人おひとりに細かくお話を伺うようにしています。しっかりとニーズを把握した上で、その方にピッタリの製品をご提案することを心がけているんです。スキンケアやメイクアップを通じて、お客様が長年抱えていたお悩みを一緒に解決できた時は、心からホッとしますね。
▼ファンデーションのエキスパートブランド【カバーマーク】のスタッフに聞きました!
「どうしてもカバーしたい部分があるけれど、他ブランドのものでは解決できなかった」とご来店されたお客様がいらっしゃいました。カウンセリングを行い、フルメイクをさせていただいた結果、大変ご満足いただけたんです。私の名前も覚えてくださり、今では常連のお客様になってくださいました。実は、他ブランドでは解決できなかったお悩みをお持ちのお客様は多くいらっしゃいます。私は、肌への理解を深めるため皮膚理論から学んだ知識でご提案をしました。製品の良さももちろん大切ですが、ご紹介する美容部員の知識も、お客様のお悩みを解決する大きなヒントになると実感しています。
タッチアップができない!コロナ禍でのエピソードも
コロナ禍においては、多くの美容部員が出勤できなかったり、自粛により店舗を開店できなかったりと、様々な困難に直面しました。
中でも、お客様との接触を避けるためにタッチアップができない状況は、美容部員にとって大きな課題でした。
今回は、ピアスグループのスタッフに、タッチアップが困難だったコロナ禍におけるエピソードを伺いました。
▼ファンデーションのエキスパートブランド【カバーマーク】のスタッフに聞きました!
コロナ禍では、口頭で製品の使い方をご説明しながら、お客様ご自身の手でお試しいただいていました。お客様のお肌に触れることができない分、口頭や手の動きを使って、いかに分かりやすくご説明できるかという点を心がけていましたね。大変ではありましたが、お客様ご自身でご納得いただけるまで製品をお試しいただけたことで、これまで以上にお客様お一人おひとりとの時間をじっくり取れる良い機会になったと、ポジティブに捉えています。
タッチアップが困難な状況下でも、「伝えること」の重要性が浮き彫りになるエピソードですね。お客様と真摯に向き合う姿勢は、コロナ禍が落ち着いた今も変わらず大切にしていきたいものです。
タッチアップに関連する資格
美容部員としてタッチアップを行う上で、必須となる資格は特にありません。しかし、日々の業務に役立ち、お客様への提案力を高めることができる資格も存在します。ここでは、いくつかおすすめの資格をご紹介します。
▼美容業界の資格が気になる方はこちらもご覧ください
日本化粧品検定
日本化粧品検定は、日本化粧品検定協会が発行し、文部科学省の後援を受けている検定です。美容系資格で文部科学省後援に認定されたのは国内初という、権威ある資格です。
化粧品や美容に関する知識の向上と普及を目的とし、基本的なメイクアップ方法、正しいお手入れ方法、薬機法(旧称:薬事法)といった幅広い知識が問われます。
この検定に合格することで、化粧品や美容に関する専門知識を深め、お客様に説得力のある提案ができるようになります。
試験は難易度別に3級・2級・1級があり、1級からの飛び級受験も可能です。また、3級はWeb受験が可能で、無料でチャレンジできます。受験資格は特にありません。
一般社団法人日本化粧品検定協会
https://cosme-ken.org/
美容薬学検定
美容薬学検定は、日本セルフケア支援薬剤師センターが発行しています。数ある美容ケア商品の中から、ご自身やお客様に合うもの、合わないものを正しく選び出すための知識を習得できる検定です。
「自分に合ったものが分からない」というお客様に対して、根拠に基づいた的確な製品の提案ができるようになります。
この検定も受験資格は特にありません。
内閣府認証 特定非営利活動法人
日本セルフケア支援薬剤師センター
http://www.yakugaku.or.jp/yakken/
日本メイクアップ技術検定
日本メイクアップ技術検定は、日本メイクアップ技術検定協会が発行する資格です。化粧品やスキンケア、皮膚に関する知識に加え、顔分析、プロポーションやバランス、色彩学など、メイクアップの総合的な知識を習得できる点が特徴です。
上位資格に「日本メイクアップ知識検定試験アドバンス」がありますが、こちらはベーシックに合格後に受験可能となります(飛び級はできません)。
受験資格は設けられておらず、どなたでも受験可能です。
一般社団法人 日本メイクアップ技術検定協会(JAM)
http://www.jma-makeup.or.jp/
色彩検定
色彩検定は、文部科学省後援の色彩検定協会が発行する資格で、幅広い職業で役立つとされています。色に関する幅広い知識と技能が問われます。
色について学ぶことは、日常生活はもちろんのこと、様々な分野で応用可能です。例えば、お客様の肌色に似合う色の組み合わせやトレンドに関する知識や理論は、タッチアップにおいて大いに役立つでしょう。
この検定にも受験資格は特にありません。
試験はUC(色のユニバーサルデザイン)級、3級、2級、1級の4種類があり、難易度が低い順となっています。3級は色を初めて学ぶ方向けの基礎的な内容ですので、「仕事に活かせる知識を学びたい」という方には2級以上の受験をおすすめします。
公益社団法人 色彩検定協会
https://www.aft.or.jp/
タッチアップに役立つ知識や接客が学べる研修ならピアスグループへ

美容業界大手のピアスグループには、「アテンダントスタッフ」と呼ばれる美容部員が多数活躍しています。
▼ピアスグループで働く「アテンダントスタッフ」って?
ピアスグループの店頭で美容に関するサービスをご提供・接客するスタッフのこと。“アテンダント(attendant)”とは、「付き添って世話をする人」という意味。
ピアスグループでは、「お客さまが主役」と考え、お客さまに寄り添って美しくなっていただくためのお手伝いをする。心から満足していただくことが使命であるという気持ちから名づけられているそうです。
アテンダントスタッフのタッチアップは、専門的な知識、製品への深い理解、そして洗練された接客によって、お客様のお悩みに徹底的に寄り添います。
もちろん、アテンダントスタッフの日々の努力があるからこそですが、入社後にピアスグループの充実した研修で接客の土台を築き、安心して店舗へ配属されているという背景も大きな強みです。
「もっとお客様に寄り添ったタッチアップがしたい」「美容部員は未経験だけれど挑戦したい」と考えている方には、イチから学べるピアスグループの研修制度が最適な環境となるでしょう。
▼ピアスグループの研修についてはこちらをご覧ください
まとめ
美容部員にとってタッチアップは、お客様のニーズを深く理解し、信頼関係を築くための重要な機会です。お客様のお悩みに寄り添い、メイクやスキンケアを通じて最適な提案ができるよう、日々コミュニケーションを重ねていきましょう。
「上質な接客ができる美容部員を目指したい」「お客様に心から喜んでいただきたい」と真剣に考えている方は、ぜひピアスグループの採用情報をご覧ください。皆様からのご応募を心よりお待ちしております。